読書メモ:『レアル・マドリードの流儀』

レアル・マドリードにとって最優先にすることはコミュニティの要求に応えることで、「コミュニティ・バリュー・ファースト(コミュニティの価値観を第一に考える)p72」を目指しているそうだ。そしてそのために大事なのが「文化」であって、ここで彼らにとって「文化」とは「共通の使命のもと、全員が無視無欲に尽くし、同じ目標を見据えて慢心することを意味する p71」とのこと。

本書を読んでいても上記でいうところのマドリーの文化の説明が抽象的に思えてしまい、結局のところどういうこと?という疑問が拭えなかった。著者自身、「「文化」は定意義することも、分析、評価、比較することも難しく、それゆえ、ピッチ内外で成功を収めるための最重要項目としては提案しづらいところがある。p72」と書いているので仕方ないのか?
全体を読んだ印象としては、マドリーは多国籍・多文化を尊重し、ただ勝つだけでなく華麗なパフォーマンスかつ最後まで攻め続けて「価値ある勝利p132」を目指す、ということなのかな。ただこれって、そこまで独自路線でもないように思う。王道すぎて実現できるクラブが少ないとは思うけど。p130以降の「使命」の箇所で端的に書いていあるのでここはまた読み返そう。

マドリーにも財政難の時代があることは初めて知った。MLBNBAと比較したサッカーの特徴がp46以降に書かれていて、サッカー界の経済構造についてはなかなか面白く読めた。が、上記のとおりマドリー独自の価値観というのが王道すぎかつ具体的なエピソードが少なく感じたため、「レアル・マドリードの流儀」を理解するのは難しかった。外国人選手の獲得にいち早く取り込んだp90とか、各選手との契約内容で異なるのは給与額だけで条項・行動規範は同じp157というのはなるほどと思った。

個人的には11章のバルサとの比較をもっとページを割いて欲しかったけど、レアル・マドリードの歴史を知るには良い本だった。