読書メモ『ジョブ理論』

イノベーションを起こすための理論として「ジョブ理論」というのを提唱していた。ジョブ理論では、人が何かを買うことを「その何かを雇用する」ととらえる。雇用するということは何か(ジョブ)を解決したいためで、その解決したいことを明らかにする、みたいな切り口で考えようという話だった。明らかにする方法は定量的な調査よりも定性的なものを重視している。「測りすぎ問題」に通ずるものがあった。

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この本は具体例が多かった。最初の例が一番わかりやすくて、例えばミルクシェイクをもっと売りたいと思ったとき。販売店を観察しているとミルクシェイクが売れる時間帯は2つあって、朝と夕方だそうだ。
買った客に聞いたところ、朝の客は車で会社に向かう時に飲むために買う(雇用する)ことが多いそうだ。なぜミルクシェイクを買うかというと、甘いものだと罪悪感があるといった理由があって、ミルクシェイクなら罪悪感も少ない。それにミルクシェイクは一気に飲めないから、長い運転中にダラダラ飲むのに適しているとか。だから企業がミルクシェイクのクオリティを上げる努力をしたとすると、それは必ずしもミルクシェイクを買うニーズとマッチしていない。
夕方の客は子供連れの親が多い。子供が家に帰る途中にぐずった時に買い与えるもの(お菓子とかおもちゃも候補になる)として、ミルクシェイクは罪悪感が少なく、かつぐずる子供を満足させる親でありたいという問題を解決するためにミルクシェイクを買う=雇用する。
という感じで、ミルクシェイクを買う理由は時間帯で異なっているし、ミルクシェイクのライバルとなる存在は、必ずしも同じ店のドリンクとは限らないということ。

実は途中で読むのをやめてしまった。中盤くらいまでは例が多くて面白かったけど、ミルクシェイク以降新しい発見はなかったのだった。ジョブ理論は新鮮な視点である気がする一方、まぁそうだよなという気もする。先にも書いた通り「測りすぎ問題」なんじゃないかな。