小津安二郎の『東京物語』を観た

 

今更だけど小津安二郎の『東京物語』を観た。学生の頃に観たけど途中で眠くなって寝落ちした覚えがある。今回は最後まで観れたし、面白かった。

東京物語』は尾道に住む両親が東京の子供をたずねに来る話。長男は町医者で長女は美容院を経営している。戦死した次男の嫁にも会いに来る。
表面上、子供たちは両親を歓迎するんだけど仕事が忙しくてかまっている暇がない。途中で熱海に旅行に行ってこいとまで言われてしまう。両親も察して無理を言わない。両親に同情してしまうけど、まぁ子が成人して仕事や子育てが忙しいと仕方ない気もする、とはいえ気の毒......という切ない気持ちになる。

戦死した次男の嫁が一番優しくて、なんとも皮肉な話だと思う。嫁とはとバスに乗ったり、母(姑)はたらい回しにされた挙句、最終日は嫁の家に泊めてもらう。
親父は旧友に再会して愚痴を聞く。そして自分は恵まれている、上出来だと思いつつ愚痴をこぼして悪酔いをする。昔は酒飲みで妻を困らせたそうだ。この作品では好々爺に見えるけど、子供からすると色々思うことあるんだろうなとも思った。

筋書きとしてはまぁよくある話だと思う。個人的には、人を招いたんなら相応のもてなしをしてあげたらいいのにと思う。親子とか関係ないんじゃないか。むしろ親だから甘えているのか。
技術的な話だと、一つのカットが長くて間伸びした印象を持った。親父は「やぁやぁ」言って間伸びしている。でも今の映像カルチャーに慣れている身としては新鮮でもあって。たまにはいいかなと思いました。

あと細かい話だと、長男の二人の息子と朝ドラ『カムカムエブリバディ』の兄弟が同じ名前だった(ミノルとイサム)。一緒に観てた家族が気付いたんだけど、こういうちょっとしたオマージュ(?)は面白い。