ツイン・ピークス
年末年始に時間ができたのでアマプラで『ツイン・ピークス』を見た。見たのは90年代のオリジナル・シリーズだけです。2017年のは未視聴。
『ツイン・ピークス』はタイトルだけ知っていて、カルト的人気の海外ドラマというイメージだった。監督デビット・リンチの作品は『エレファント・マン』しか見たことなくて、さっきWikipediaをみるまでデビット・フィンチャーとかぶってた。あと、エイフェックス・ツインの連想から双子が出てくる作品だと思っていた。
つまりほとんど何も知らない状態で見た。
以下、ネタバレもあるのでこれから見たいという方は気をつけてください。
前半と後半
この作品は大きく前半・後半に分けることができる。前半はローラの殺人犯を追うパート、後半はツイン・ピークスの伝説をめぐる話。単なる殺人事件かと思っているといろんな謎が出てきて、その謎が次なる謎を呼んで、見ていて飽きない(とくに前半は)。赤い部屋の描写やボブの登場シーンとか、ビジュアル面でも惹きつけられる箇所がたくさんあった。
登場人物が多くてみんながどこかでローラと関係があり…田舎町特有の人間関係の濃さというか。コメディ要素もありつつ根底に流れる不安感が独特の魅力になっている。
一見平和そうな町の裏の側面、そういうのは阿部和重の『シンセミア』にもあったなと思い出した。不在になったローラに町の人たちが翻弄されているところは浅井リョウの『桐島、部活やめるってよ』を連想した。ローラを失ったことで人々のバランスが崩れてしまう感じ。
以下は前半・後半の詳細です。前半はかなり面白かった。FBI捜査官のクーパーが科学的な調査以上に自分の夢やツイン・ピークスの伝説を重視しているのがツッコミ要素としてはあるけど、それはエンタメとして楽しんだ(クーパー自体はいいキャラだったけど、彼のロマンスは急展開すぎて消化不良)。ローラの殺人犯がわかった回は背筋が凍ったなー。犯人とボブは多重人格ということで、同一人物としても良かったんじゃないか。そうすれば、ローラの母がボブの幻影を見たことも説明できるし。
で、後半。正直なところ、後半は風呂敷を広げに広げて回収できずに終わってしまったという印象だった。これ、最後どうなるんだろうと思いながらハラハラしていたら、多くの謎を放りっぱなしで終わった。前半をもう少し膨らませてコンパクトに仕上げることもできたんじゃないか。具体的には傷心したジェームズの放浪、ベンの転落と復調、アンディーとディックのルーシー争奪のくだり、このあたりはもっとカットできたと思う。10分くらいで別のシーンに変わる群像劇になっていて、何が起こるんだと思っていたらとくにストーリーと絡むことなく終わってしまった。
以上、色々書いたけど全体としては見てよかったと思える作品であった。これは見た人同士であーだこーだいう作品だと思う。解決されない謎が散りばめられていてつい語りたくなる、突っ込みたくなる、エヴァっぽいというか、そういう作品なんじゃないだろうか。人気が出たのはよくわかる。
音楽とドーナツとチェリーパイ
細かいけど印象的だったものとして劇中音楽とドーナツとチェリーパイをあげておこう。
テーマ曲が歌詞のないミニマルな音楽で好みだった。このところApple Musicでよく聞いている。音楽がいい作品は記憶に残る。
アメリカの警察がドーナツをよく食べるイメージはあったけど、実際に食べてる描写を見たのははじめてかも。『ツイン・ピークス』では実によく出てきて、ミスドとはまた違う感じのドーナツで美味しそうだった。ブラックコーヒーと合いそうで、クーパーが喜ぶ姿が印象的だった。
そういえば、最近はじめてスタバでドーナツを食べた。わりと大きめで甘く、寒い日に食べたので、コーヒーと相まってとても美味しかった。実はドーナツは好物です。
チェリーパイもよく出てきた。ダイナーで大抵の人がチェリーパイとコーヒーを食べていた。いつかチェリーパイを食べることがあれば、ツイン・ピークスの人々を思い出すだろう。
ドラマを一気見するということ
話はズレるけど、今回のようにドラマを一気に見れる環境だとついつい見てしまう。この間、ほぼ全ての余暇を『ツイン・ピークス』に捧げてしまった。自分はドラマをほとんど見なくて、とくにサブスクでの一気見というのは『ストレンジャー・シングス』『半沢直樹』くらいしかない。Netflixとか、そういうのでドラマにハマるのはわかるけど、ハマってしまうと他の趣味や生活にけっこう影響が出ると思った。タイパとかいう人あいるのもわかる気がする。本当は週に一度のお楽しみで見るのがいいんだろう。
『ツイン・ピークス リミテッド・イベント・シリーズ』へ…
ということで、オリジナル版から25年後にはじまった『ツイン・ピークス リミテッド・イベント・シリーズ』は時間ができた時に見ます。ブラック・ロッジの謎が解明されているのか、どうか。