はじめての高野秀行

高野秀行の『異国トーキョー漂流記』と『幻獣ムベンベを追え』を読んだ。氏の本は初めて読む。何度か名前を聞いてはいたものの、手に取る機会がなかった。読んだ順番は『異国トーキョー漂流記』、『幻獣ムベンベを追え』。

『異国トーキョー漂流記』は8つの話が収録されている。東京にやってきた外国人と氏の話で、ひとつひとつが短いから読みやすかった。日本に「ここではない何か」を求めてくる人もいれば仕事で仕方なくやって来る人もいる。金持ちも貧乏人もいる。いずれにせよ異国で生きる切なさのようなものがあり、でも氏との交流で救われたり、といった感じ。氏は電車でたまたま隣にいたフランス人に話しかけて語学の先生になってもらったりする。ちょっとした積極性があれば人生は豊かになるんだろう。

『幻獣ムベンベを追え』は処女作で、おそらくこちらが氏の真骨頂だろう、辺境(今回はコンゴ)に怪獣を探しに行く話。学生時代の探検部の時の話だそうだけど、『異国トーキョー漂流記』の時と文章の感じは同じで読みやすくスイスイと進む。自分だったらコンゴのような観光地化されていない(のか?)場所は行かないけど、読む分には面白いし、猿肉とか日本で食べない食材の話もUMAの話もわりと好きだ。怪獣探しだからワクワクもトラブルも多いけど、個人的には切なさを感じる『異国トーキョー漂流記』の方が好みだった。